ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

本文

Yaitars(ヤイターズ) ~兼ね備えているひと~

印刷ページ表示 更新日:2021年6月25日更新

暮らす人々

地域にチャレンジする人を増やす、支援することを目的に設立された「矢板ふるさと支援センターTAKIBI」では、地域で活動する様々な方々にインタビューし、その暮らしをお届けしています。

BLUEBERRY FARM UEKI植木敦嗣さん・歩さん

01

矢板市越畑地区の細道を上ったところにある、とっておきの隠れ家のようなブルーベリー農園。

突如現れるお洒落で可愛いその外観は、連れて行った人を驚かせ、喜ばせる事が出来るだろう。迎えてくれるのは、気さくで優しいご夫妻。就農の経緯や思いなどについて植木さんにお話を伺った。

 

02

【兼業農家からのスタート】

―就農を考えたきっかけはなんですか?

「元々宇都宮に住んでいましたが、将来的には矢板で生活し、就農したいと考えていました。子供が小学校にあがるタイミングで戻ろうと決めました。土地が余っているので、それを活用したいし、お客様と関われる仕事、お客様の顔を見ながら仕事がしたいと思い、観光農園が希望に沿っていると思い、その道に進みました。」

 

―ブルーベリーの栽培を選んだ理由は?

「他の作物も検討して、有機栽培とか多品種とか、色々調べました。ただ、有機栽培にしてもちょっと時間が掛かり過ぎちゃうから悩んでいたら、母がブルーベリーやったらと一声かけてくれました。当時、栃木県では、今私達が取り組んでいる”特別な栽培方法”でやっているところがなくて、自分達が最初にやりたいね、と辿り着きました。」

 

―敦嗣さんのお母様もブルーベリー農家でしたよね?

「祖父母は専業でしたが、両親は兼業農家で、母が地植えでブルーベリーを栽培・販売しています。もう15年くらい経ちますかね。最初は、数本だったようですが、群馬に研修に行ったり、自分たちで接ぎ木したりして増やしたようです」

 

―どのような形態で農業をされているのでしょうか?

「兼業農家です。現在は仕事をしていますが、夏場だけ仕事を休業させてもらって、農園は夏季限定で営業しています。農園のオープンに合わせて併設されたカフェの営業も行っています」

03

 

 

【新しい技術、無駄のない農業】

近年、矢板市やその近郊でもブルーベリー農家が増えてきている。道の駅を覗いても、栽培農家が増えた事が分かる。そんな中、栃木県で一番最初というキーワードが気になり“特別な栽培方法”に関して伺うことにした。

 

―まず、農業を学ぶ為に研修とか学校とかに行かれましたか?

「一切行ってないんです」

 

―では、どうやって技術を習得したのでしょうか?

「”ポット溶液栽培システム”というのがあり、農園のブルーベリーはすべて鉢植えで栽培されています。施工業者さんがいて、そこから指導を受けています。農園全体の施工、肥料をあげるタイミング、こうやって剪定して下さいとか、そういうのを全部一任して教えてくれる人がいらっしゃいます。講習会とかにも行ってます。自動かん水(水やり)システムだから、養液をタンクにいれて、時間をセットする。技術面で必要な事は、剪定、摘果、摘蕾、あとは収穫の見極めが分かれば育てられちゃうんですよ」

 

このような栽培方法の場合、土壌(土地)選びはほとんど必要ない。何故なら、土の代わりにアクアフォームというスポンジのようなものに植えるからだ。通常の地植えの場合は、実がなって収益化できるまでに、3~4年はかかると言われている。だが、このポット栽培は、1~2年でそれを可能にする。徹底的にシステム化され、作業面でも日常的なかん水(水やり)や施肥は無人化。一面に敷き詰められた防草シートにより、除草にかかる手間も大幅に削減、足元の汚れなども気にしなくても良くなり、ベビーカーで来園したり、お洒落をしてブルーベリー狩りを楽しめるメリットも兼ね備えた。現代農業の課題をしっかり解決しながら、生産性の高い栽培体系を実現している。

 

04

 

 

【地域を越えて補い合う】

前述の通り、経験や勘に頼りきらない新しいシステムである。一般的ではない栽培方法の為、実際に営農がはじまると沢山のご苦労があったに違いない。どうやって進み乗り越えてきたのか。

 

―何かご苦労はありましたか?

「そもそも当時はブルーベリー農家自体が少なくて、農業の相談機関に行っても、ブルーベリーじゃ新規就農自体も難しいし、収益も上がらないと散々言われて来ました(笑)。マイナー過ぎて、される話しが一般的には…に押されちゃう。ブルーベリーの常識を覆したいんだけど、一般常識に囚われ過ぎて、まだ覆せない。実際に始めても、これ何の病気だろうと質問しに行っても、何ですかね~で終わってしまう。また、初期投資が中々かかるんですよ」

 

地域の農業者でつくる部会がない為、ネットで調べたり、他の生産者さんに聞いたりして凌いでいたようだ。そんなさなか、全国のブルーベリー養液栽培のグループと出会う。

 

「ネットで情報交換をしたり、勉強会をしたりしています。LINEでグループがあって、5~60人位いるんですけど、東日本と西日本の支部に分かれています。そこで、こんな事がありました、そのケースは経験しました、と情報交換して色々学んでいます。」

 

その土地の気候や風土に影響を受けづらいポット栽培によるブルーベリーは、従来の部会や地域を越えて、全国的なネットワークで繋がっている。自身で経験出来る回数は限られているが、皆で持ち合うと経験は何倍にもなる。このように、全国的なネットワークのもとで経験を共有するという取り組みも、次世代の農業の形であると感じる。

 

―タネからではなく苗木を購入するんですよね…高くつきそうですが…

「全世界では、400種類以上あるんです、食味もそれぞれ違う。苗専門店から購入していて、パテント品種といって、品種ごとに特許があるんです。販売元は、ライセンスを取得していて、農園で勝手に増やせない。ウチはほとんどそのパテント品種なんですよ。木の寿命自体は30年位持つらしいです」

「害虫被害もあります。カミキリムシやコガネムシが卵を産み付けたり、根っこが全部食べられちゃって、木がスポンと抜けたり、枯れたり、何年もかけて育てたのに、たった1匹でもダメにされてしまう」

 

―どうやって対処していますか?

「うちらの方針は、花の時期に薬剤散布を。最後に、実がなっている時は基本的には薬剤散布しないので、見つけて捕殺するしかないです。」

 

ご自身も小さいお子様がいらっしゃる為、減農薬を心掛け、安心安全な栽培に取り組んでいる。

 

05

 

 

【ブルーベリーのポテンシャル】

ここまでお話ししたように、ポット栽培という手法は、実がとれる期間である経済樹齢の期間が長く、栽培方法的にも次世代に対応出来ている。観光シーズンも、夏の長期休暇と重なるため、集客にはとても効果的。見た目も可愛いし、アントシアニンをはじめ、高い栄養価も期待できる。

そんな最高な作物を携えた、ご夫婦に最後に今後の夢を伺った。

 

「美味しいブルーベリーを一生懸命作る事だけに集中して頑張っています。一番美味しい完熟で食べて頂く事にこだわってます。ブルーベリーは、一度収穫してしまうと追熟しないため、酸っぱければ酸っぱいまま。だから観光農園にこだわり、完熟の美味しいブルーベリーを食べてもらいたい。リピーターさんが来てくれるのが1番うれしいなって思います。想い出に残るようなブルーベリーを作る事、本当に美味しいブルーベリーを知って頂いて、ブルーベリーの価値観を変えたいです。そして、少しでも矢板のまちに貢献出来たらなって思います。」

 

栃木県の中でも、農業者や畑作農家が少ないと言われているなか、矢板で次世代農業の波がおきている事を本当にうれしく思う。そして、可愛くてお洒落なスポットが矢板に誕生している事に感謝をおぼえ、共に頑張っていく仲間として、がぜん応援したい気持ちになった。

(聞き手・書き手地域おこし協力隊OG 富川素子)

 

プロフィール

BLUEBERRY FARM UEKI(ブルーベリーファームウエキ)

植木敦嗣(あつし)さん・歩(あゆみ)さん

06

2018年よりブルーベリーを栽培しているブルーベリー専門農家。

農業に取り組む強い意志に、お洒落なセンスと、食べてくれるお客様への思いやりもすべて”兼ね備えているひと”。

厳選のブルーベリー22品種600本(時期により食べられる品種は異なる)を取り揃え、来園者のお気に入りのブルーベリーが見つかりますようにと愛情たっぷりに丁寧に栽培している。休憩できるカフェエリアには、男女別のトイレや、授乳室、オムツ替えスペースを完備。

ベビーカーや車椅子のお客様も安心してブルーベリー狩りを楽しめる。

住所:栃木県矢板市越畑260-5

TEL:0287-48-7677

Mail:info@blueberryfarmueki.com

Facebook:BLUEBERRY FARM UEKI (facebook.com)<外部リンク>

Twitter:https://twitter.com/farmueki<外部リンク>

Instagram:https://www.instagram.com/blueberry_farm_ueki/<外部リンク>

LINE:https://lin.ee/PPaq535<外部リンク>

Amebro:BLUEBERRY FARM UEKI ameblo<外部リンク>

営業時間:9時00分~17時00分(不定休)