地域包括ケアシステムとは
4.生活支援体制整備事業(協議体・生活支援コーディネーター)
地域包括ケアシステムとは
地域包括ケアシステムとは、人口減少社会における介護需要の急増という困難な課題に対して、医療・介護などの専門職から地域の住民一人ひとりまで、様々な人たちが力を合わせてサポートしていこうというシステムです。
重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に提供される体制(地域包括ケアシステム)の構築を進めています。
日本全体で急速に高齢化が進んでいますが、高齢化の進展状況は各地域によって大きな差があるため、地域包括ケアシステムは、各地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要です。
地域包括ケアシステムの必要性
日本は、諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行しています。
65歳以上の人口は、現在3000万人を超えており(国民の4人に1人)、2042年の約3900万人でピークを迎え、その後も75歳以上の人口割合は増加し続けることが予想されています。
このような状況の中、団塊の世代(約800万人)が75歳以上となる2025年(令和7年)以降は、国民の医療や介護の需要が、さらに増加することが見込まれています。
地域包括ケアシステムが必要とされる背景にはこのような、日本の「高齢化」と「人口減少」があります。日本は少子化の影響で、すでに人口減少が始まっていますが、一方で、高齢者人口は急増しており、このことは高齢者の生活に大きな影響をもたらします。
また、年齢を重ねるごとに要介護認定率は上昇傾向であり、今後、75歳以上の人口の急増に伴い、要介護認定者の急増が想定されます。しかしながら、支える側の労働者人口は減り続けていき、ヘルパーなどの介護人材の確保はますます難しくなります(肩車型社会)。支えてもらいたくても支えられる人がおらず、要介護認定を受けても十分なサービスが受けられないという危険性があります。
さらに、認知症高齢者や、高齢者の単身世帯、老々世帯も増加することが予想されることから、例えば、単身の認知症高齢者をどのように支えていくのか等も将来的な大きな課題となります。
そのため、医療・介護などの専門職から地域の住民一人ひとりまで様々な人たちが力を合わせて高齢者を支える地域包括ケアシステムの構築が必要になってきます。
地域包括ケアシステムの構成要素
地域包括ケアシステムを構成する5つの要素として、「植木鉢」に例えられた構成図が国から示されています。
構成要素1「鉢」:すまいとすまい方
植木鉢の「鉢」となるのは、「すまいとすまい方」で、生活の基盤として必要な住まいが整備され、どのようにそこに住むのかという住まい方が確保されていることが地域包括ケアシステムの前提となります。
構成要素2、3「土」:生活支援・福祉サービス
「土」に例えられるのは、「生活支援・福祉サービス」で、心身能力の低下、経済的理由、家族関係の変化などがあっても尊厳のある生活が継続できるよう生活支援を行います。専門的な医療・介護などに関するサービスが定着するためにも、植木鉢に満たされ、かつ、植えられる植物が育つために必要な養分を含んだ「土」としての役割の「生活支援・福祉サービス」が重要となります。
構成要素4「葉」:介護・医療・福祉
上記の植木鉢と土があってこそ成り立つのが植物の「葉」に例えられる、「介護・医療・福祉」です。住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるために、個々人の抱える課題に合わせて、「医療・看護」「介護・リハビリテーション」「保健・福祉」が専門職によって提供される専門サービスで、ケアマネジメントに基づき、必要に応じて一体的に提供されます。
構成要素5「皿」:本人・家族の選択と心構え
植木鉢の「受け皿」として、「本人・家族の選択と心構え」があります。今後も高齢化社会が加速していき、単身・高齢者のみの世帯が主流になる中で、在宅生活を選択することの意味を、本人及び家族がしっかりと考え、共に理解し、そのための心構えを持つことが重要となります。
生活支援体制整備事業(協議体・生活支援コーディネーター)
生活支援体制整備事業とは地域の皆さんの力を集結する取組みです。
皆さんは、5年後、10年後、そして将来へ向けて、矢板市をどのような地域にしたいですか?今、全国の市町村で、高齢者の皆さんが暮らしやすいまちを自分たちで考え、作っていこうという取組みが始まっています。
この取組みの推進役として「協議体」と「生活支援コーディネーター(地域支えあい推進員)」という仕組みが作られました。
※矢板市では、本事業の全体管理及び生活支援コーディネーターを「社会福祉法人 矢板市社会福祉協議会」へ委託しています。
協議体とは
支え合う地域づくりの話し合いの場
協議体は、地域の多様な主体がメンバーとなり、今やっていることや、無理なくできることなどを皆で話し合う仕組みになります。
どんな話をするの?
地域であった「ちょっといい話」、「困ったこと」、「気になること」、「地域で行われている活動」など、地域のことであれば何でも自由に話し合い、情報を共有します。その話し合いの中で、活動同士のつながり、見守り活動、趣味や体操などによる居場所づくりなど、その地域ならではの支え合いの仕組みづくりをできる範囲で考えていきます。
誰が協議体のメンバーになるの?
地域の実情に応じて、次のような構成になります。
1.第1層協議体(「市全体」という広い視点で協議します。)
行政、区長会、民生児童委員、シルバー人材センター、社会福祉協議会、地域包括支援センター、警察署など
2.第2層協議体(概ね中学校区を単位とした集まり、生活をしている区域)
区長、民生児童委員、自治公民館、地域住民、地域包括支援センター、民間事業所、サロン代表、シニアクラブなど
第2層協議体のメンバーを募集しています!
矢板市では、市全体を考える第1層協議体と、中学校区を単位とする第2層協議体が立ち上がっています。第2層協議体はどなたでもご参加いただけますので、ぜひ、お住いの地区の協議体にお気軽にお越しください。
・矢板地区…『矢板 助け合いの会「やさしい手」』
・泉地区……『泉 ぼっちの会』
・片岡地区…『片岡 ささえあいの会』
問い合わせ
矢板市社会福祉協議会に直接、またはお電話でご連絡ください。
Tel 0287-44-3000
生活支援コーディネーターとは
支え合う地域づくりの調整役
生活支援コーディネーターは「Sc」や「地域支え合い推進員」とも呼ばれ、協議体と協力しながら、自分たちのまちをより良くしていくために、地域の様々な支え合い活動をつなげ、組み合わせる調整役です。
主な活動内容
1.地域の高齢者のニーズや、地域に不足している介護予防や生活支援などのサービスの把握
2.サービスの開発の向け、地域の関係団体への働きかけ
3.地域の関係団体間の情報共有や連携体制の整備
4.サービスの担い手の発掘や要請、地域のニーズと不足するサービスのマッチング
※生活支援コーディネーターは「社会福祉法人 矢板市社会福祉協議会」に委託しています。
出典:厚生労働省「地域包括ケアシステム」(平成28年3月 地域包括ケア研究会報告書より)」
厚生労働省「地域包括ケアシステムの構成要素と「自助・互助・共助・公助」」
※厚生労働省が推進する「地域包括ケアシステム」についてはこちらをご覧ください。(厚生労働省のページに遷移します)<外部リンク>