市における除染等の取り組み
市では、東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射性物質の影響を低減させるために、国の長期的な目標である「追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下となること」(※下記参考)を目指して、環境省の「放射線量低減対策特別緊急事業費補助金」等を利用し、除染に取り組んできました。
まずは、除染の対象の区域や施設区分、実施時期等を明記した「矢板市除染実施計画」を策定し、その計画に基づき、平成23年度から平成25年度末まで除染に取り組んできました。
除染の実施状況
除染の実施にあたっては、必要かつ合理的な範囲・方法で除染を実施するために、まず敷地内の空間放射線量率を詳細に測定しました。その測定結果に基づき、必要に応じて、学校・公園の庭の表土除去や、戸建て住宅の雨樋下の天地返し等を実施しました。
平成25年度は、戸建て住宅や八方ヶ原交流促進センター等の除染を実施しました。
また、塩田ダム公園や除染区域内の通学路については、放射線量率の測定を実施した結果、除染の必要はありませんでした。
八方ヶ原交流促進センター除染作業の様子
(左:芝生の深刈り、右:屋根雨だれ部分の土の天地返し)
平成25年度に除染を実施した施設における、除染作業前後の空間放射線量率は以下のとおりです。
施設名 | 測定点数 (箇所) |
除染作業前測定(地表1メートルの高さ) | 除染作業後測定(地表1メートルの高さ) | 低減率 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
測定時期 | 平均空間放射線量率 (単位:1時間あたりマイクロシーベルト) |
測定時期 | 平均空間放射線量率 (単位:1時間あたりマイクロシーベルト) |
|||
八方ヶ原交流促進センター | 107 | 平成25年7月 | 0.33 | 平成25年11月 | 0.27 | 18% |
戸建て住宅(泉地区98戸) | ||||||
(敷地内生活空間) | 465 | 平成26年 1~3月 |
0.18 | 平成26年 1~3月 |
0.18 | |
(除染実施箇所) ※マイクロホットスポット |
317 | 平成26年 1~3月 |
0.34 | 平成26年 1~3月 |
0.28 | 18% |
戸建て住宅(矢板地区175戸) | ||||||
(敷地内生活空間) | 769 | 平成26年 2~3月 |
0.13 | 平成26年 2~3月 |
0.13 | |
(除染実施箇所) ※マイクロホットスポット |
326 | 平成26年 2~3月 |
0.27 | 平成26年 2~3月 |
0.21 | 22% |
平成24年度の除染に関しては、「平成24年度における除染の取り組み」をご覧ください。
除染・空間放射線量率測定の実施施設
平成23年度から平成25年度までに、除染や空間放射線量率測定に取り組んだ施設の数は以下のとおりです。
施設の種類 | 測定・除染実施 | 測定のみ(除染不要) | 合計 |
---|---|---|---|
小学校 | 6 | 0 | 6 |
中学校 | 2 | 0 | 2 |
幼稚園等 | 6 | 2 | 8 |
学童保育館 | 3 | 1 | 4 |
子ども福祉施設 | 1 | 0 | 1 |
公園 | 18 | 4 | 22 |
その他公共施設 | 1 | 0 | 1 |
通学路 | 0 | 53(キロメートル) | 53(キロメートル) |
戸建て住宅 | 396 | 1,251 | 1,647 |
永年性牧草地 | 51(ヘクタール) | 0 | 51(ヘクタール) |
市内の空間放射線量率の状況
これまでの除染の効果や放射性物質の自然減衰等の状況を確認するために、平成26年3月に除染対象区域内の空間放射線量を調査しました。
矢板市区域内の空間線量率の平均値は毎時0.11マイクロシーベルトでした。
調査の詳しい結果については「市内生活道路の空間放射線量走行調査結果(平成26年3月実施)」をご覧ください。
(参考)追加被ばく線量年間1ミリシーベルトの考え方(環境省)
国は、土壌等の除染等の措置に関して、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」の基本方針[PDFファイル/407KB]において、長期的な目標として追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下となることを目指すとしています。(基本方針の4.(1)参照)
上記の追加被ばく線量年間1ミリシーベルト(mSv)は、1時間あたりの空間線量率に換算すると、毎時0.23マイクロシーベルト(μSv)になります。換算の考え方については、下記のとおりです。
- 事故とは関係なく、もともと自然界の放射線が存在し、大地からの放射線は毎時0.04μSv、宇宙からの放射線は毎時0.03μSvとなる。
- 追加被ばく線量年間1mSvを、1時間あたりに換算すると、毎時0.19μSvと考えられる。(1日のうち屋外に8時間、屋内(遮へい効果(0.4倍)のある木造家屋)に16時間滞在するという生活パターンを仮定)
毎時0.19μSv × (8時間 + 0.4 × 16時間) × 365日
= 998.64μSv
= 約1mSv ※μ(マイクロ)はm(ミリ)の千分の一 - 放射線測定器による空間線量率の測定では、事故による追加被ばく線量に加え、大地からの放射線分が測定される。
0.19(事故による放射線分) + 0.04(大地からの放射線分) = 毎時0.23μSv
詳しくは、追加被ばく線量年間1ミリシーベルトの考え方(環境省)[PDFファイル/116KB]をご覧ください。