うれしさも匂(にお)ひも袖(そで)にあまりけり わがためおれる梅のはつ花
私のために今年初めて咲いた梅の花の枝を手折り届けてくれて、その梅の花香りが辺りに立ち込めるあまり袖にも香りが移るのと同じくらい嬉しい気持ちも溢れています。(やまねの解釈)
これは塩谷朝業が、主の源実朝から「梅のはつ花」を送られた時の、あまりに嬉しい気持ちを詠った和歌です。
「初物」を送る相手に自分を選んでくれた時の特別感は日本人ならではの感覚かもしれませんね。
塩谷朝業が喜んだ「はつ花」は今どのくらい咲いているのでしょうか。
そう思って、川崎城址公園へと足を運んでみました。
何段も続く階段を登ると、本丸へと向かう途中にありました!!梅の木がたくさん!!
咲具合は個体差があり、既に5分咲きの木もありますが、ほとんどはつぼみを膨らませ、控えめに数輪がかわいらしい顔を出しています。
これが私にとっての「梅のはつ花」です。
「初」といえば、実は川崎城址公園に行ったのは、これが初めてです。
良いところとは聞いていたので、いつか行こうと思っていましたが、いつでも行けると先延ばしにしてしまいました。
今日やっと行けました。
塩谷朝業が出家した時に八歳の娘が別れを惜しんで詠んだ(八歳で和歌を詠むとは!!)という歌碑が解説書とともにあったり、堀がすごく大きくて見応えがあったり、市の指定天然記念物という「ヤマトアオダモ」という樹齢400年!24メートル!という見上げたくなる立派な木があったり!!そして1番上の本丸からは矢板市街が一望出来ます。
わー!!
川崎城は案内を見ると、なかなか広く、堀や曲輪が幾つかある複雑な構造のようです。
その為、いくつかの広けた場所があり、場所ごとに風景も変わるのが面白いです。
私は「二の曲輪」が気に行ってしまいました。
高原山が見えることはもちろん、館ノ川の集落が見えます。
この辺りには「古宿」と呼ばれる川崎城に仕える者たちの居住地や、「堀江山(堀江城)」という川崎城の南も護りがあったそう。
城があった頃に想いを巡らせるのも楽しいですね。
さて、せっかくだから梅の木の下のベンチで休んでみましょう。
低く伸ばした梅の枝に包まれているようで落ち着きます。
午後の風がふわっと梅の香りを漂わせています。
さすがに袖にまでは染み込みませんでしたが、マスク越しにも新しい春が来る喜びを感じるひと時となりました。
まだ一度も訪れたことがない方も是非、梅の花を観にいらしてはいかがでしょうでしょうか。